香川真司、ベシクタシュ移籍発表までの経緯
今朝、香川真司選手のベシクタシュへのローン移籍が発表されました。
この冬の市場での移籍に関していくつか話が出てましたが、昨晩はモナコ破談?ベシクタシュ?え、ハノーファー!?と様々な情報が錯綜しましたね…。
スペイン移籍を希望していた香川ですが契約合意に至るクラブが見つからずに、とりあえずはプレー機会を優先しベシクタシュで調子を上げて夏の市場で再度スペイン移籍を狙うという理解をしています。
今期は戦術が合わずに構想外となり、怪我で出場機会のなかった2017-2018シーズンの後半から合計で約1年間もクラブでレギュラーから外れていることになります。このまま半年残っても出場機会は得られそうにないですし、まずはプレーする機会が必要ですね。
正直、多くのサポーターが「まあどうせクラブの調子が悪くなってきたら香川が必要になるだろう(というかロイスが怪我せずどこまで持つか…)」くらいの印象だったんじゃないかと思うけど、クラブは好調を維持して2位のバイエルンに勝ち点6の差をつけて首位をキープし続けている。完全に構想外です。
そんな状況ですが、クラブのレジェンドの1人でもあることから移籍金を8割カットなどの報道もあるようにドルトムントは移籍に関して素晴らしいサポートをしてくれていました。
ほうほう、モナコに移籍か…
現在リーグアンで降格圏に位置するチームとはいえ、毎年上位に位置する名門です。
一昨シーズンの優勝チームですし、ドルトムントのクラブバスの爆発事件直後のCL準々決勝でドルトムントと対戦(香川は1G1Aの大活躍)していたことも記憶に新しいです。
本人の希望していたスペイン移籍は実現出来ずに残念だけど、とは言え「ドルトムント、マンチェスターユナイテッド、モナコ」と5大リーグのビッククラブを渡り歩くなんて、凄いキャリアだなあ…なんて思っていたら破談とのニュースが。
ん?ベシクタシュなの?
え、どうなるんだろう…。なんて思ってスマホを開いたら「香川がトルコに向かっているだと…!」とビックリ!
ベシクタシュは以前から話題には上がっていたけど「トルコかあ…」というのも正直なところ。
ポドルスキも確か30歳の時にトルコに移籍していたし、ドルトムント(リーグ2連覇)→マンチェスターU(リーグ制覇)→ドルトムント(カップ制覇)→ベシクタシュというキャリアは日本人フットボーラーのキャリアとしては物凄いはずなのだが、まだまだ5大リーグでの挑戦を期待してしていたので複雑でもありました。(ベシクタシュもクラブランクで20位前後から分かるように超名門なんでしょうけど、トルコリーグ観たことないのでなんとも…。)
ただ一つ気になるのは買取オプションは付いているのかというところで、一般的に考えればこの状況では買取オプションが付いていないと獲得するクラブは納得しないのではないか…なんて思っていたら次の瞬間にはハノーファー公式が「クラブ間合意」と発表。
え、トルコに到着しているのにハノーファーやて!?
もう何が何だか分からない。笑
結局はトルコメディアでベシクタシュの人間が「報道は誤りで香川に買取オプションは付いていない」と説明し、ハノーファーの件も勝手に納得しています。
トルコ到着のタイミングでのハノーファーの発信はビックリしたが、ベシクタシュも当然買取オプションは契約に盛り込みたかったはずなので、各クラブと香川の代理人などの間で駆け引きがあったのかもしれないなと。
ひとまずはベシクタシュで活躍して冬の移籍よりもチャンスが広がる夏の市場でスペイン移籍を実現させたいというところだろう。
問題は買取オプション無しの選手をどれだけ使ってもらえるかは怪しいし、夏の市場のほうがチャンスはあるとは言えスペインから獲得の話が来るかは分からない。(去年の夏に毎日新聞がベシクタシュのスポンサーになったはずなので出場機会が契約に盛り込まれている可能性は高いように感じるが)
冬市場でスペイン移籍が決まらなかった要因と夏市場も心配な理由
はっきり分かることは、香川がスペインでのプレーを希望していると発言したこと、しかしこの冬の市場では実現できなかったこと。
そして、香川が素晴らしい選手だとしても、来夏の市場でもスペイン移籍は簡単なことではないと思います。
そう考える理由としては高額年俸、適正ポジション、EU圏外選手枠、プレースタイルなどがあげられます。
高額年俸
6億と言われている高額年俸を払えるクラブはスペインでは上位の数チームしか存在しません。
でも、高額年俸を支払えるバルセロナやレアルマドリードのようなメガクラブではそもそも求められていないでしょう。
下げることも十分考えられますけど、それでもお金のないスペインの多くのチームにとってとてもリスクがあることは間違いありません。
ポジション
これまでTOP下、サイドハーフ、IHと様々なポジションをこなしてきました。
ロシアW杯での日本代表こそ彼が一番輝ける戦術であり適正ポジションだったと思う。最大の武器ともいえるアジリティとオフザボールの動き、そして広い視野とチャンスメイクが活きていましたね。
動き回ってボールを引き出し、相手の間で受けて、プレッシャーの厳しいエリアでもボールを失われずにボールを叩いてリズムを作れる選手。守備では周りと連動して運動量豊富に動き回りコースを限定していく。本当にロシアW杯では素晴らしい活躍でした。
しかし、スペインでどれだけTOP下のポジションを置く戦術を採用しているのか(全てのチーム事情を追っているわけではないので分からないが)という問題がある。ドルトムントではIHでも良い動きをしていましたがスペインのクラブが何としても欲しいと思うほどのクオリティかと考えるとベストなポジションとまでは言えないと思います。
夏に噂のあったセビージャなら香川は合っているかもしれないがライバルも強力で、好調を維持するチームが来夏の市場でも噂に上がるかは移籍市場次第といったところでしょう。
EU圏外選手枠
上記の障害以前に、EU圏外選手枠という大きな問題もあります。
スペインリーグ機構(LFP)の規定により、各クラブが許されるEU圏外選手の保有は3名に制限。
先月の記事なので現状はわからないが、戦力の整理をしなければ香川を獲得すること自体が不可能なクラブが多いだろう。
現時点埋まっていないのは、セビージャ、ベティス、エスパニョール、ソシエダ、そしてバレンシアの5クラブとのこと。
プレースタイル
ドルトムント2連覇からマンチェスターユナイテッドに移籍したあたりから怖さがない選手と言われるようになってしまったが、プレーの幅はとても広がったと思う。IHでも活躍出来る選手になったし、良い選手であることは間違いない。
ただ、どんなチームでも、どんな戦術でも安定して活躍できる選手ではないんだと思う。
仕掛けられる選手でなくなってしまったことが大きな問題だろう。仕掛けから相手の守備を崩せる選手はどんなクラブでも需要があるが、ボールを受けるまでは優秀だがそこから仕掛けられない選手は、スペインに限らずなかなか評価され辛くなっている。
ここら辺は同じくスペインで苦戦中の柴崎と似ていると思います。
テクニックや創造性あふれるプレーはスペインでも問題なく通用するでしょうけど、シャドーやTOP下で使うには仕掛けや推進力など個人での打開力に怖さがなく、CHで使うには守備面での強度に難がある。
柴崎同様にロシアW杯のようにお互いがカバーし合いながら良さを引き出せる環境であれば十分活躍は出来ると思いますが、チーム選びが特に重要なタイプの選手です。
それでも日本人選手のラリーガでの挑戦は夢
上記のようにラリーガ挑戦はいくつかの障害がある。
過去には、城、西澤、大久保、家長、そして中村俊輔に清武…多くの日本代表クラスの選手たちがその輝きを発揮出来ずにスペインを去っている。
Wカップで大活躍だった乾はベティスでポジションを見つけられずにアラベスに移籍、ヘタフェの柴崎も出場機会がなく2部のデポルティーボへの移籍が囁かれていたが結局残留となり、日本代表で躍動するCHではなく恐らくサイドアタッカーorシャドーの位置での挑戦が求められるだろう。
日本人にとって鬼門と言われるスペインでの挑戦は、近年の欧州でのキャリアという観点で言えば日本人歴代最高の香川がどこまで活躍できるのかと、香川ファンのみならず多くの日本人サポーターにとって興味深いことだと思う。
まあ、そんなこんなで久しぶりに移籍関係でそわそわして寝れない夜を過ごしました…というお話です。
※IJのゲンク(ベルギー首位)への移籍も決まりましたね!
日本人スピードスター系の選手としては珍しくボール持ってからも早いし、クロスやスタミナも欧州でやれるだけの武器があるのでどれだけ活躍するか楽しみです。

KKK

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