日本代表の香川・本田は落選する?選出される?
長年日本代表の中心選手として活躍してきた本田・香川・岡崎。
メディアではBIG3と揶揄されることも多いこの3選手。
先日の東アジアE-1サッカー選手権でJリーガーの不甲斐無い結果を受け、改めて海外組の必要性が叫ばれている。
監督の求めるスタイルが明確な場合、戦術に合う選手が十分に足りており、チームの質が向上している状態であればネームバリューや、海外での実績などは選手の選出において関係のないものとして捉えるべきだろう。
現状としては物足りなさは感じるが、既に攻守において基本的な約束事は決まっているように見える。(東アジアE-1サッカー選手権は初出場の選手が多かったため別だが)
しかし、最後の崩しのところでのクオリティの部分では、海外組の力がどうしても必要になるのではないかと思ってしまう。
そして、ハリルも最終的には、ここ数試合招集していなBIG3も含めた海外で活躍する選手を組み込んだメンバーでの戦いを想定しているのではないかと思う。
なにより、岡崎や香川はハリルの求める前線からの積極的なプレスや縦に早い攻撃に適した選手であり、本田にしても日本人選手の中では(全盛期からはかけ離れているとは言え)未だに日本人離れしたフィジカルの強さは備えているし、ワントップの選手にアバウトに預けてタメを作るなり展開の起点となるサッカーを続けるのであれば大迫がファーストチョイスになるとしても、控えのFWとして大迫に次ぐ選手として選出される可能性は大いにあると思う。
では、何故彼らが選出されていないのか。
メディアは彼等が外されるインパクトを大げさに伝えたがるし、サポーターとしてもここ最近の彼らの代表での出来なら外されて仕方がないと考える人も多かったという印象だが、ハリルの考えとしてはコンディションの上がっていなかった経験豊富な海外組よりも、代表経験の少ない選手たちが国際舞台でどこまでやれるかを試す機会と考えていたのではないか。
連携を重視するこれまでの監督と少し異なり、ハリルはチームの連携よりも、色々な選手を試して候補を増やし、相手によって選手を入れ替えるタイプの監督であり、欧州遠征では他の選手の確認を優先させることや、コンディションの関係で選出されなかっただけで、候補には入っているのは間違いない。
そして、国外でプレーする彼らの2017シーズン前半戦は、間違いなく昨年と比べてコンディションが上がっている。
そんな中、代表に彼らの居場所はあるのか、ライバルは誰か、またW杯本選までの残り半年でどのようにチームに組み込んでいくのかを考えてみる。
※岡崎選手についてはこちらの記事で書きました
香川真司
まずは香川選手について。
長年日本代表のエースナンバーを背負う彼だが、所属するドルトムントでのプレーのクオリティと比べてしまうと、代表ではイマイチ輝けない選手であり、多くのサポーターが物足りなさを感じ続けている選手だと思う。
先日のバイエルン戦のスタッツを見ても、やはり現在の日本人選手として海外でここまで質の高いプレーを見せている選手他にはいないと思います。
1アシスト
シュート数:2
タッチ数:73
対人戦勝率:71%
パス成功率:87%
香川の良さはバイたるエリアでこそ発揮され、狭いエリアで正確にボールをコントロールし、前を向く能力と、そこからの創造性あふれる展開力や打開力だと思う。
プレースタイルや長所に変化はあれど、ドルトムントでの今季の活躍でも2011-2013のドイツ1年目、2年目に匹敵するコンディションと結果を今年は残せている。
現在の代表の基本フォーメーションを4-3-3(4-1-2-3、4-2-3-1)とするならば、中盤のIH(4-1-2-3)もしくはトップ下(4-2-3-1)が適正の選手。
どうしても、長谷部、山口蛍、井手口を中心とした中盤構成の印象が強いのか、ゲームメイクを担当する選手は不要に見えてしまうが、W杯本大会出場決定後のサウジアラビア戦での柴崎の起用や、欧州遠征時の森岡、長澤の起用、E-1選手権でも大島、高萩(怪我がなければ清武も)の選出から分かるように、決してそんなことはないと思う。
中盤3枚が守備的な選手で固めた試合はホームのオーストラリア戦と欧州遠征のブラジル戦のみ。
現代サッカーにおいてはどうしても局面でのアスリート能力が求められ、ハリルジャパンの鍵である前線からのプレスにおいては1つの綻びから大きなピンチを招いてしまうので、ハリルの求めるそれらの基準と攻撃的な選手がもたらす価値とのバランス、周りとの連携、対戦相手の戦術によって誰が選出されてもおかしくない状況。
アンカーのポジションでスタメン最有力に見える長谷部も、今シーズンは怪我の影響によりクラブでの出場機会が減ってきている。年齢もあり、本選時にコンディションが最も心配される選手。
仮に長谷部の調子が万全でない場合、代役として今野や山口蛍がアンカーを担当するのか、もしくはダブルボランチに山口蛍・井手口を並べトップ下のポジションを作るのか…選手のコンディションと、対戦相手とのバランス次第だろうが攻撃面で輝きを放つ中盤選手の枠は2-3だと思う。
ライバルは長澤(浦和レッズ)を始め、スペインでプレーする柴崎(ヘタフェ)、ポルトガルで大活躍中の中島(ポルティモネンセ)、倉田(ガンバ大阪)、もしくは清武(セレッソ大阪)あたりになるのではないか。
総合的な能力ではやはり香川と柴崎に分があると思うが、日本代表の課題でもあるプレースキックの精度では清武、ボールを運ぶ能力やミドルシュートからの得点力なら中島、フィジカルコンタクトの強さでは長澤、ハリルの戦術としては運動量豊富でプレスバックもしっかり行い、ドリブルでボールを運べる倉田が重宝されているし、以前(https://koudai-m.com/+Japan_national_football_team_vsiraq)には原口がトップ下の位置で試されたこともある。
本田圭佑
間違いなく2010年南アフリカ大会以降の日本代表を背負ってきた大エースの本田選手。
とにかく、言動がウザカッコイイのだが、本田に関しては香川、岡崎とは違い、怪我や戦術的な不一致だけではなく実力の問題で外されてしまっていた選手のように思う。
ただ、出場機会のなかったACミラン時代を経て、メキシコに渡った今シーズン、しっかりとコンディションを上げてきている。
先日のCWCでは、順調にパチューカでは多くのサポーターに復活の兆しを印象付けたのではないかと思う。
CWCに加えて、メキシコリーグを数試合観た感想としても、コンディションは良くなってきているし仕掛ける意識がとても高くなっている印象。
とは言え、怪我前の2010年南アフリカの頃の本田と比べてしまうと、あの驚異的なプレーからは程遠いし今の代表に合うのかと考えると確実に「合っていない」と言わざるを得ない。
それでも、個人的には本田に期待してしまうところがある。
ワイドのポジションでは献身性をベースにスピードや個人での突破力、推進力に期待する人選だと考えると本田の居場所はサイドのポジションではない。
もちろん、対戦相手や状況に合わせてサイドで起点を作る役割を与えられることはあるかもしれないけれど、基本的には中央での起用が多くなるのではないか。
そう考えた時に、中盤3枚に求められるプレスの速さ、切り替え、ボール奪取力などでは、選出濃厚である山口蛍、井手口を始め当落線上である香川、岡崎、柴崎、長澤、倉田、清武などにも劣ってしまう。これは致命的で、プレスにおいて一つ穴が出来てしまえばそこから崩される。
どこまでを許容範囲と判断するか。今後ハリルがIH(もしくはトップ下)に今以上のゲームスメイク、前線のクオリティの向上、前線のフォローなどを求めた場合でも、まずはプレスにおいて致命的な穴にならないだけの運動量と、献身性は大前提として求められることになるはず。
そこがクリアできれば、ボールを預けるという明確な役割を与えたい状況では本田の右に出る者はいないのではないか。
現代表の攻撃の基本は大迫にボールを当てるところから始まるが、本大会では大迫が潰されて基本の形すら作れないことがあるかもしれないし、そういった状況でサイドで起点を作ろうと考えた場合では中央だけでなく、サイドでの本田がカギになる可能性も十分ある。
もちろんこれはオプションであって、現状の戦術の根底が変わらない限りはスターティングメンバーに名を連ねることは可能性としては薄いと思う。
経験も含め、ゲームの流れを変える選手として本田は23人の枠に入るのではないかと思っているが、もしも、スターティングメンバーで出場する機会があるとすれば、大迫の代役でFWとしてだろう。
彼のこれまでの経験や実績はそれだけ評価されるものなんだと思う。
BIG3を活かすとしたらこんなフォーメーション
香川・本田(岡崎は別ページ)の代表での現状についてだらだらと書いてきましたが、もしもBIG3を先発させるならフォーメーションとしてはこんな感じだろうか。
…あれ、4年前になんか見たことあるような陣形。
まあ、いつの時代も、どのチームでも誰もが納得するスタメンやフォーメーションなんてのは存在しないだろう。
しかし、ハリルジャパンの場合は特に不満が多くなってしまうのはよく理解できる。
まず一つに、日本人の長所だと信じられている連動性や、パスワーク、創造性よりも、献身性とデュエルの強さを求める。
献身性は日本人の長所だとしても、デュエルに関しては日本人の課題であり、その穴を連動性や、パスワーク、創造性で埋めるサッカーが理想とされてきた。
デュエルでは敵わなくても献身的に走り回って数的優位を作りボールを奪い、ポゼッションを高めて、華麗なパス回しと中盤の創造溢れる選手の閃きから崩しをする日本代表を多くのサポーターは求めてた。
また、中心選手である原口はクラブで出場機会がない状態だし、浅野や久保も得点は少なく、大迫に関してもクラブの状況が宜しくない。
こういった状況になると、優秀な選手を並べたところで対戦チームに勝るわけではないと理解しながらも、クラブで結果を出している調子のいい選手を見たいという声が上がるのはもう必然のようなものだと思う。
海外で結果の出している調子の良い選手でのフォーメーション
活躍中の海外組選手を中心に選手を当てはめるのならこんな感じなのかなと。
…まあ、日本のサポーターとしては今よりは魅力的かもしれない。
監督の趣向によってはこんな形も十分あり得るのかもしれないし、対アジアなら快勝を重ねるかも知れないし、本大会でも嵌れば十分戦えるのではないかと思う。
しかし、以前のブログ(https://koudai-m.com/football-korea)で書いた通り、現在のサッカーはアスリート能力が求められる時代になってしまい、日本人の理想とするサッカーが悪いとは思わないが、最低限のデュエルの強さを見つめ直すフェイズなんだと認識している。
W杯本番まで残り6か月。
今回取り上げたBIG3と揶揄される本田・香川・岡崎をはじめとした各選手のコンディション調整はもちろん、ハリルは残された期間で課題をどう乗り越える算段を付けるのか、また対戦相手の分析後どういった戦術で挑むのか。また、この冬での移籍話が取り上げられている井手口・杉本などの海外挑戦にも期待しています。
どのような戦術とメンバーで挑み、誰がスターになるのか…非常に楽しみな時期になってきました。

KKK

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