社会現象になりつつある弱虫ペダル
ロードバイクを題材にしたアニメ「弱虫ペダル」の勢いが凄まじく、腐女子のみならず、中二病患者にまで影響を与えてします。
腐女子の聖地池袋のアニメイトでは弱虫ペダルを全面に押してましたし、ローソン、カラ鉄、ユニクロ、earth music&ecologyなど、様々な業界とのコラボが実現してきました。
更に、Bianchi cafeや、cannondalとのコラボが実現するなど、自転車業界もうまくブームに乗れている様子。
人気声優もロードを始めるなど、腐女子層からの注目もより高まるのではないかと予想されます。
身近なところだと、近所のアニメバーの店員が荒北を好きだからBianchiを買ったと言っていた。
確かに、アニメのキャラクターがかっこいいからなんて中二臭いし、そんな理由で始める人はマナーがなってない人が多い。
まぁ、でもきっかけは、なんだっていいじゃんか。
流川楓のロードバイクに衝撃を受けた
(C)井上雄彦/集英社
僕も中二病らしく、漫画にあこがれてロードを始めたクチです。
と言っても、ロードバイクを題材にした漫画ではなく、「スラムダンク」の流川でした。
洋楽聴きながらロードで風を切り裂く流川に、中二病魂が揺さぶられてしまったというのがロードを始めたきっかけだった。
僕もあんな感じで通学したいと思い、自転車で通えそうな学校を選び、二年生になる頃くらいに近所の自転車で5万くらいのロードバイクを購入した。
今思えば、5万円程度のロードなので重いし、デザイン重視で決めたのでサイズも無理やり合わせる感じだったうえに、二年間で30センチも身長が伸びたので、力を無駄に使うことになっていたと思うんだけど、当時は全然そんなこと気にしないで、しょっちゅう学校サボって海を見に行ってたり、ツールドフランスを一日中見てすごしたり。
友達のいなかった僕はとにかく一人で何時間も走りまわった。
大和武という中二病全開キャラに憧れた日々
(C)安田剛士/講談社
大学生になった頃にマガジンで連載が始まった「OVER DRIVE」というロードバイクを題材にした漫画にハマり、本格的なロードバイクがほしくて仕方なくなり、色んな自転車ショップをまわった。
OVER DRIVEの大和武(クロスケ)というキャラが体格も雰囲気も、授業聞かないでフランス語の勉強しちゃう中二感も僕にそっくりで、クロスケの乗ってるブランドがほしい!と思ったんだけど、調べてみたらCARRERAというブランドは日本ではあまりメジャーではなく、取り扱ってるお店も少ないし、ANCHORやGIANTなんかの定番どころと比べると高くてしょうがないからFELTあたりにしようと思っていたら、隣町のサイクルショップでCARRERAを見つけて、サイズも合うし、やっぱり僕はクロスケのように、こいつでフランスを目指すしかないなと即決で買ってしまった。
とは言っても、コンポを105に抑えても、諸々の経費で50万位にはなってしまい、当時の彼女に10万円借りて、サイクルショップに10万は付けにしてもらい、仕事先から給料前借して何とか手に入れた。
初めての大きな買い物で、大学の学費払えるかなーとか、しばらく税金は滞納だなーとか不安もあったけど、そんなことより、とにかくすごい嬉しかった。
働きながら大学にいっていたので、ただでさえ寝る時間もないのに、それまでのライブやクラブなどを絶って、時間があれば少しでも坂を上りにいって、土日は実業団の人達と走ったり箱根を攻めたりと夢中になった。
もともと、中学で長距離走、高校でボクシングをやっていて、高校時代から箱根を越えて静岡に旅をしたりしていたので、心肺能力と根性と駆け引きというロードに必要なものは揃って、すぐにそれなりに走れるようになった。
そうなってくると実業団や、サイクルショップの練習もどんどん楽しくなっていって、それまで大人と言うと職場の人としかコミュニケーションを取ったことがなかった僕は、趣味で対等に付き合える関係というのは初めてだったし、大人たちも「10代でCARRERAを選ぶなんて渋い子がいてくれて嬉しいよ」と可愛がってくれた。本当は漫画のキャラクターに憧れて選んだだけだったんだけど。
弱虫ペダルキャラクターの使用ブランド一覧
そんなわけで、弱虫ペダルではどのキャラがCARRERAに乗るのかなーと楽しみにしていた。
不自然なまでに使用ブランドがバラバラなので一旦話を切って、まとめてみる。(漫画で出てるとこまで)
【総北高校】
(C)渡辺航(週刊少年チャンピオン)/弱虫ペダル製作委員会
金城 真護
TREK
田所 迅
SPECIALIZED
巻島 裕介
TIME
小野田 坂道
BMC
今泉 俊輔
Scott
鳴子 章吉
Pinarello
手嶋 純太
cannondale
青八木 一
corratec
古賀 公貴
MERIDA
杉元 照文
COLNAGO
鏑木 一差
FELT
ものすごく個人的な感想なんだけど、OVER DRIVEの主人公ミコちんがTREKのイメージにピッタリだったので、金城さんのTRECKに違和感を感じてしまう。それにしてもハイエンドばかりで家庭環境どうなってんのか突っ込みたくなってしまう。
【箱根学園】
(C)渡辺航(週刊少年チャンピオン)/弱虫ペダル製作委員会
福富 寿一
GIANT
荒北靖友
Bianchi
東堂 尽八
RIDLEY
新開 隼人
cervelo
泉田 塔一郎(アブ!)
BH
真波 山岳
LOOK
黒田 雪成
KUOTA
葦木場 拓斗
WILIER
三年生四人のブランドイメージはピッタリ。荒北にBianchiってのも作者のセンスを感じる。
【京都伏見】
(C)渡辺航(週刊少年チャンピオン)/弱虫ペダル製作委員会
御堂筋 翔
DEROSA
石垣 光太郎
ANCHOR
岸神 小鞠
CARRERA
御堂筋のDEROSAも作者のセンスの良さに驚く。尽八あたりに持ってきそうなものだけれど。
そして京都伏見の新キャラ小鞠がCARRERAに乗るというガッカリ感が半端ない。
弱虫ペダルとoverdriveの魅力を比較
overdriveはとにかく作画の上手さとロードバイクを通して人生を描くというテーマが好きで、安田剛士先生の他の作品を見ていてもそこが武器の漫画家なのだと感じる。
対して、弱虫ペダルは王道の少年漫画といった感じで、これでもかという熱い展開を、試合の流れを壊さずに挟むタイミングが素晴らしい。
どちらも主人公が素人で、スポ根系の熱い作品であることに変わりはないのだが、弱虫ペダルがチームの団結力や、ライバルチームとの死闘を描くのに対して、overdriveは自転車にかける各々の思いや、生い立ちにフォーカスを当てている。
面白いことにoverdriveでは作品を通して一度もチームとして一緒にレースを走っていない。
最後のレースでもリレー形式の個人タイムトライアルという形をとることにより、ライバルとの一対一の関係や、個人の回想を挟みやすい構図にしている。
ここはすごい影響を受けたところで、僕にとってロードというと孤独に自分と向き合うための乗り物というイメージを持ち、チームで走っているときも強烈に個を意識していたし、練習でも個人で仕掛けて一対一の環境で走っているときのほうがしっくりきた。
比べて、弱虫ペダルを見ていると、学生時代にああいう団結力を持ち走ってみたかったという気持ちになる。
弱虫ペダルほどではないが、overdriveをきっかけにロードバイクを始めた人も多かったが、特に作品に感化されやすい中二病患者にとって、影響を受けた作品によりロードバイクへの印象も変わるのではないかと思う。
きっかけはなんだっていい
大学を卒業する頃になると、僕は本当にやりたいことが他に見つかり、ロードバイクに乗らなくなる。
乗らずに放置していたCARRERAは盗まれてしまった。
それでも、今でもロードバイクを愛している。
乗らなくなって、放置して盗まれるような奴が、愛してるなんて言うのは変な話なんだけど、もうあの時の僕にとってのロードバイクは「ありがとう」と言って次のステップに進む時期だったのだと思う。
練習のときはいつだってフランスだけを見ていた。
僕が海外で生活するきっかけはそこだった。
限界が見えるまでやったわけじゃないから、続けていてもどこかで壁にぶち当たって挫折したかもしれないけど、ロードを通して未来が見えた。
ロードバイクは素晴らしい。
確かにお金はかかるし、きつくてきつくて仕方がない。
レースでは怪我は付き物だし、車には嫌な目で見られる。
落車で前歯を7本も折ってしまったし、他にもたくさんの怪我をした。
でも、自分の弱さと向き合える。
友達がいなくても、家族がいなくても、そういう経験が自転車に乗っていると自分を支える武器になる。
極限まで精神を消耗すると、自分の素直な想いが見えてくる。
初めて千葉から大阪に行ったとき、始めはたった3日で本当に行けるのかよと思った。
10代の頃の僕にとっては大阪は行った事のない、とても遠いところだった。
でも、漕ぎ続ければエンジンなんかなくても、空なんか飛べなくても、ちゃんと自分の足で届くのだということを知った。
めちゃくちゃきつかったし、何回も道に迷ったり、高速道路に入ってしまってトラックに煽られたり、田舎の夜道は真っ暗で先は見えないし不安だった。けど、ガソリンスタンドのおじさんが「田舎の夜道は危ないから泊まっていきな」と言ってくれてトラック運転手用の仮眠室に泊めてくれたり、みんな親切に道を教えてくれたし、応援してくれたり、食べ物をくれたり、同じくロードバイクで旅する人と一緒に走ったり、色々な出会いに支えてもらいました。
そして、千葉から離れれば離れるほど、いつも一緒にいてくれる人達の大切さにも気付けた。
そういえば、大阪に行こうと思ったのも「ハチクロ」を読んでいて、自転車で旅するのかっこいいなーと思って突然飛び出しただけだった。
どこに行きたいわけでもなくて、なんとなく大好きな自転車にまたがっただけのスタートが、素敵な青春の思い出になり、教科書になり、勇気と自信をくれた。
僕がOVER DRIVEにハマってロードバイクを始めたように、今の高校生や大学生なんかも弱虫ペダルを読んでロードバイクを始めるのだろう。
その道はしっかり続いているよ、漕ぎ続ければちゃんと届くよって、今度は僕があの旅の恩返しが出来ればいい。
それが高校生でも大学生でも、腐女子でも構わない。
奢ってやるよ・・・ペプシ。
(C)渡辺航(週刊少年チャンピオン)/弱虫ペダル製作委員会

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