ハチミツとクローバーとポカリ
(C)羽海野チカ/集英社
もし僕に、一番好きな漫画はなんですかなんて聞いてくる人がいたら、中二病な僕としては山本直樹やらサメマチオだったり、まあなんというかサブかる臭のする漫画やら漫画家を挙げたくなってしまうものなんだけど、困ったことに間違いなく「僕が世界で一番好きな漫画はハチミツとクローバー」なんだ。
で、この愛をとても文章にしたい気分ではあるんだけど、ちょっとワンシーンに絞って書いてみたい。
そのワンシーンとは、第一巻で大好きな真山に突き放されて泣いている山田さんに、森田さんがポカリを差し出すシーン。
もうね、これが気取ってなくて素敵なのです。
泣きながら創作活動に取り組む山田さん。
そこに森田さんが後ろからポカリを差し出す。
山田さん「・・・・何よ」
森田さん「早く水分とらなきゃ そんなに体から水出したら干乾びちまう」
山田さん「ぶわっ(泣)」
僕(当時高校三年生)「うおおおおおおお!!!!!なんじゃこりゃあああ!!!!!!!!かっこいい!!!!!!!!!!」
となったものです。
当時、町の小さな本屋でバイトをしていて、先輩にハチクロを紹介してもらって読んでみたらもう本当に素敵すぎてハマってしまいました。
それからは、最終巻(竹本君の電車内のシーン)を読むたびに授業中でも何処でも、何度も涙を流し、意味もなく窓の外を眺めたものです。
童貞紳士の決断
そんなある日、隣の席だった女の子が彼氏に振られ泣いていたのです。
これは紳士(童貞)としてはほっておけない。
僕「はっ!!!!!!!!!!」
そこで気付いてしまったんですね。
僕はポカリを買いに行き、森田さんのセリフをいただきました。
僕「早く水分とらなきゃ そんなに体から水出したら干乾びちまう」
隣の席の女の子「・・ありがとう(泣)」
あの子は泣きながらも、はにかんだようにも見えた。
思い返せば、あの瞬間、僕は恋に落ちてしまったのかもしれない。
真山が近くにいたら「人が恋に落ちる瞬間をはじめて見てしまった」なんて気付いてくれたのでしょうけれども、周りのクラスメイトはもちろん、自分自身でも気づかなかった瞬間でした。
それからしばらくして、僕らは付き合うことになりました。
とはいえ、初めての彼女で何をすればいいのかも分からず、男子高校生全開で毎日のように放課後の教室でアダルトな活動を行っていました。
何人かに目撃されていたので、未だに高校時代の友人に会うと笑い話にされます。
そんなこんなで、二か月も経たずに振られてしまい、元カレと寄りを戻すと言われ、随分多くの涙を流したものです。
その元カレというのが、もともと僕の友達でもあり、学校公認のカップルだったので、ヒールなポジションから、かわいそうなキャラへ見事に転げ落ちました。
ここは高校時代の友人たちもあまりネタにしてきません。笑
ただ、僕としては恋愛=ハチクロだと思っていたので、そういうセンチメンタルな感じがとても心地よかった。
要するにハチクロを読んで恋愛をしたいと思い、ハチクロのようなセンチメンタルを味わいたかっただけだったのかもしれません。
10年近く前の話ですから、はっきりした感覚は分かりませんが、当時の性格を考えても、相手のことを大切にしようという思いが無かったのだろうなと思います。
もう完全に社会学忘れて恋愛の思い出話ですね。
社会学関係ねえ
ちょっとだけそれっぽいことを書かせていただきますと、学生のころに恋人が出来ないと、その後もなかなか恋人が出来ないと言われています。
景気や少子高齢化など未来への不安もありますし、バブル崩壊前のような、ある程度の年になると上司や親が結婚相手を紹介してくれるというシステムも今では期待できません。
僕はコミュ障だったこともあり、あの頃に彼女が出来なかったらと考えると・・・。
周りが男子ばかりで多忙だった大学時代も彼女を作らず、そのまま今日を迎えていたのではないかなと思ったりもします。
どちらの人生が良かったのか・・、と言うことは分かりませんが。
彼氏・彼女を作るというのは、実際はそんなに難しいことではないと思うのですが、やはり最初は何か「きっかけ」がないと踏み出せない人間というのは少なくないと思います。
それの「きっかけ」が僕にとって「ポカリ」だったのかなあと。
モテない童貞男子高校生に、恋愛って素敵なんだなぁと思わせてくれたのが「ハチミツとクローバー」でした。
離婚率や教育費、出産により女性のキャリアが止まってしまうなど、マイナスなニュースばかりが取り上げられる昨今。
確かに考えなくてはいけないことは沢山あって、リスクは個人で管理するしかないし、お互いを思いやることが如何に難しいかを痛感する毎日ですが、それでも「恋愛っていいよなぁ」「ちゃんと向き合おう」と思わせてくれる素敵な作品です。

KKK

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